『本って本当に楽しいね!』児童書読書記録

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zoom RSS 書評(季節風115号掲載)・『ともだちのはじまり』最上一平・作 みやこしあやこ・絵 ポプラ社

<<   作成日時 : 2013/09/09 00:29   >>

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今日は、栃木県の今市図書館にて、童話・児童文学セミナーが開催されて、講師に、最上一平さんがお越しになっていました。私は、ちょうど7月刊行の季節風115号の書評担当で、最上一平さんの『ともだちのはじまり』を拝読させていただいたばかりで、とーっても最上さんにお会いしたくて行きたかったのですが、どうにも都合のつかないわけがあり断念・でも、今日、一日、今頃、講演中だなぁ、とか、今頃、二次会だなぁ、なんて思い浮かべてました。不思議なもので、行けなくて残念だったけど、最上さんと、栃木で児童文学を書いている作家・書き手の皆さんのお顔を思い浮かべていたら、さみしさはなくなって、あ、ここにも「ともだちのはじまり」があるなぁ〜なんて、思いました。

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友だちは、だれかを想う心でできている 
            あだちわかな

『ともだちのはじまり』
     最上一平・作 ポプラ社


本書を手にして、私は、帯の言葉に強く魅かれた。
『ともだちのはじまりは、ゆっくり ゆっくりでもいいんだよ……』
新学期、仲良しの友だちと別れ離れになってしまって、新しいクラスで過ごす時も、引越しをして、新しい土地の新しい学校に転入する時も、この言葉があったなら、どんなに心強いことか。
もし、何かの催しもの会場で、となりの席に、どうも気が合いそうにないと感じる人が座ったら、私はどうするだろう。がっかりして、目を合わさないようにして、つまらなそうに、ため息をついているかもしれない。
 でも、本書の主人公、さとは違う。
となりの席の、気が合わないと感じるじゅじゅが、「このゆびとまれ」といって、ひとさしゆびをたてると、(もし、あのゆびにだれもとまらなかったらどうしよう)と、心配する。
 じゅじゅが、「あのね。わたし、ほんとうはうちゅうじんなの」「ハッピー星からやってきた、ハッピー星人なんだあ」「ハッピーを見つける星人なわけ」と、話しかけてきたときも、じゅじゅが、鉄棒のまえまわりを、連続五十回できることや、給食バクバク食べて、鼻から、うどんをだしたことを思い出して、(ぜんぶ しんじたわけじゃないけれど、もしかして、じゅじゅは ほんとうに うちゅうじんかもしれない)と思う。
さとは、気が合わないと感じていても、ちゃんと、じゅじゅのことを気にかけている。そのままのじゅじゅを、そのまま見つめて、想っている。優しい気持ちで見つめているとか、大きな心で受け止めているとか、そういったものではなくて、もっと柔らかで、もっと自然に、じゅじゅを認めている。
 いいなぁ、と思う。気が合いそうにないと感じる相手を、こんなふうに想うことができたら、その気持ちが相手に伝わって、気がついたら、二人で、ニッコリ、ほほ笑みあえる時がくるんじゃないかと思う。さととじゅじゅのように、満天の星空を見上げながら、手をつなげる時がくるんじゃないかと思う。
友だちって、相手のことを想うと、そばにいるような気がしてくるし、何十年ぶりかに再会しても、すぐ昔にもどって、毎日、会っていたかのように過ごすことができる。
友だちは、だれかを想う心でできているのかもしれない。
そんなことを思いながら、さととじゅじゅの「ともだちのはじまり」を拝読したら、拝読後、子供時代からの友だちのことが思い出された。ふと思いたって、シューマンのピアノ曲集『子供の情景』第七曲「トロイメライ」をかけてみた。
「トロイメライ」は、ドイツ語で「夢」「夢想」「夢見心地」という意味なのだそう。
本書では、さとが、じゅじゅからもらったオルゴールの曲だ。じゅじゅからもらったオルゴールは、音が鳴らない。でも、じゅじゅは、「こわれているんだけれど、おとが するんだよ」「ハッピー星人だけには、きこえるんだよ」という。さとは、最初、聞こえなかった。でも、じゅじゅと、じゅじゅのお母さんの合格祈願のお守りを用意して、(じゅじゅの おかあさん、あしたのしけんにごうかくするといいな)と思ったら、「トロイメライ」の音楽が聞こえてきたのだ。
 私も、友だちの幸せを祈る、幸せを見つけるハッピー星人になって、ハッピー星人だけには聞こえる「トロイメライ」を聞いていたい。いつも、いつでも、いつまでも。




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<ともだちのはじまりは、ゆっくりゆっくりでいいんだよ……。>
さとの隣の席のじゅじゅは、元気で活発な女の子。
「この指とまれ! 」と人差し指を立ててすぐに友だちを集める。
けれど、それをわきで見ているさとは、なかなかその指にとまれないどころか、
(もしあの指にだれもとまらなかったら、どうしよう)
と内心いつも心配している。
そんなさとに、ある日じゅじゅが初めて声をかけて……。
二人の少女がゆっくりと友情を育んでいく姿を温かく描く物語。 (内容紹介より)
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